先月夏至の頃から次第に先住民、特にホピ族のことが気になっていた。 あるご縁から、私は「第 3 回世界水フォーラム」(2003 年 3 月 16~23 日)で世界中の 先住民の方たちをお世話する通訳係りを務めた。世界水フォーラムは、1992 年 6 月リオデジャネイロの地球サミットで、21 世紀の持続可能 な開発には「淡水資源管理」が必要不可欠だという認識が国際社会で高まり、1996 年には 世界水会議(WorldWaterCouncil ➡WWC)が設立され、以来、このWWCの呼びかけで 開催されるようになった。
(写真:第3回 世界水フォーラム)
それまで水の問題をほとんど実感したことがない生活をしていた私は、世界中から集まっ た先住民の水問題に耳を傾けることによって、多大な知恵を授かることができた。 水問題と言っても、バングラデッシュでは洪水が、アフリカのトゥワレク族は干ばつ、北米 のホピ族は泉の枯渇が問題だった。 彼らは本会議の他にも先住民のみで集まって朝から晩まで討論するほど熱心だった。 本当に水が命だという実感が私の内側から湧き上がってきたのを覚えている。
(写真:京都の会議室にて通訳をする尚子先生(右の黒髪の女性))
そのときご縁を得たホピ族のスポークスマン (実は、マリリン・ハリス・テワスという 女性でした) は、彼女の娘さんが水問題と戦って自殺を図ったことをドキュメンタリーに 収めていて、水フォーラム終了後に、それを各地で上映する計画を持って来日していた。 私は、彼女の通訳としても暫くのあいだ行動を共にしたが、その結果「水からの伝言」を書 かれた江本勝氏ともお会いする機会を得て、後にアメリカ、アリゾナ州セドナでは江本氏の 通訳を務めた。
(写真:金沢 マイクを持っているのがマリリン)
水フォーラムでご縁を得たマリリンの提案で、私はホピ族の居留地(ユタ州、コロラド州、 アリゾナ州とニューメキシコ州の 4 州に接燐するフォーコーナーズ)へ出かけ、そこでくまうじ ヴァーノン・マサイェスヴァ(熊氏で村長)に出会うことができた。氏(ウジ)は「クラン」と言って、ホピの家族がみな世襲で受け継ぐ称号で、村の長は必ず熊氏から選ばれる。
先月の夏至のイベントで私が持っていたカチナは、その方から頂いたものだ。 日本の先住民と言えば縄文人を思うが、私は北海道札幌市に生まれ、アイヌ民族の子孫の方 が営んでいた「めぐみ幼稚園」へ入園したが、今でもその園長先生が大柄で色白、大きな黒 目とふさふさした黒髪が印象的だったことを思い出す。 そして、アイヌは自然を「カムイ」という呼称で指し、それは「全てのものに心があるとい う精神」に基づいている。心が通じ合えば言葉は要らないので、直に自然と心で交流しなが ら生活していたのだと思う。 私が 45 年余り学んでいる「ヨガ」も、内側へ目を向け、身体をリラックスさせる「調身」、 思考の無い静かな心「調心」、そして呼吸を調える「調息」を介して先住民(ヨギ)の知恵 を伝えている。
(写真:ダンさんと尚子先生 ニューメキシコ州 チャコキャニオンにて)
Comments